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法医昆虫学(続編)


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四章.自然発生説の否定

何も無い状況から生物が発生するだろうか。 この疑問に対して長い間、議論が続いていた時代がある。 イタリアの医師、レディは密閉した容器に腐った肉を入れ、ウジが 発生しないことを証明し、その後、フランスの細菌学者、 パスツールは白鳥の首フラスコを用いて自然発生説を完全に否定した。 生物が何も無い状況から現れることは無いのだ。

五章.法医昆虫学を支える科学的データ


(C)CSI〜科学捜査班〜

法廷において重要視されるのは直感ではなく、科学的データである。 これは法医昆虫学についても同様であるが、 この学問は長い間研究されていなかったため、これらのデータはかなり少ないのが 現状だ。このような状況で頼りになるのは実験である。 人体の腐敗状況のデータと近いデータを得るためには人体の組織と似たような 実験動物で無ければならならないが、 組織学的には20〜25キログラムの豚が最適であると考えられている。 現在、法医昆虫学のデータはこれらの豚を用いた実験が主要で、信頼されているという。

六章.昆虫達が"語りかける"証拠

昆虫が提供する証拠として考えられるのは主に以下の二つが考えられている。

死亡場所
昆虫は世界各地に生息しているが、 その種の分布状況などは異なっている。そのため、死体周辺の 昆虫を調べることによって、殺害現場などを特定できる場合があり、 その場所に特徴的な昆虫がいた場合、 犯人にその痕跡があれば、参考になることもある。

死亡時刻
事件を解決する上で死亡時刻は非常に重要である。 この死亡時刻が割り出されることにより、その時刻に 会っていた人物が特定される。 そして、この死亡時刻を割り出す際に法医昆虫学が大きく貢献する。 死体周辺の昆虫や、成長状態を見ればどの程度時間が 経過したのか分かる場合があり、 外傷による出血があまり無い場合には体の開口部から 昆虫が侵入すると考えられているので時間を特定する助けになるといわれている。 実際には温度や、地形などによって異なるので科学的な データを元に導き出されるが、 死体には基本的に数十分後にはハエが集まり、 産卵し、卵から"かえる"とハエの幼虫「ウジ」となる。 また、クロバエ、ニクバエ、イエバエなど ハエの種類によっても時間を割り出せ、 最初の1、2週間は特にこのハエの種類や状態が 重要であると考えられている。 さらに、1、2週間後は、ハチなどが集まり、 白骨化するとカツオブシムシなどの甲虫も集まりはじめ、 数ヶ月間〜数年間は死体特有の昆虫相になるという。 先ほど紹介した、ハエの幼虫であるウジは種を同定するのが難しいので、 成虫になるまで飼育される場合もあるという。

最終章.法医昆虫学の実際


(C)CSI〜科学捜査班〜

法医学は様々な学問が関係していることは最初に述べたが、 個人的はこの法医昆虫学もその一つであると感じる。 しかし、実際にはアメリカの一部の州などでは参考にされているものの、 日本では用いられていない。 法医昆虫学者は膨大な昆虫の 種の同定が出来なければならず、 事件現場で死体や昆虫に科学的にアプローチ出来るかということも重要だ。 現場に行って死体を前にしてあらゆる種類の昆虫を採集しなければならない。 今後、このような法医昆虫学は法医学の中でも重要な分野の一つになるかもしれない。 もしかしたらこの読者のうちの一人がその未来の法医昆虫学者になっているかもしれないのだ…
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