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植物学の基礎

担当:長官
植物学は最も身近で、意識されていない科学の一つだ。
序章.植物

植物は身近にありながら、その仕組みなどについて 普段あまり意識されていない。 植物に関しては小・中学校で共通過程に含まれており、 高校では理系の生物の過程に含まれているが、 塾で生物を教えていた時には あまり植物が好きではない人も多かった。 その理由は覚える量が多いというものであった。 しかし、小・中学校の頃の本当に基礎的な内容に限れば 実はそれほど量が多いというはなく、 小・中学校を振り返る機会を提供したい。

一章.植物の存在

植物は昼夜問わずに呼吸を行っているが、 昼間は葉の葉緑体(緑色に見える)が日光のエネルギーを捕獲し、光合成により、 体内で使えるエネルギーに変え、その際に酸素を放出する。 この空気中に含まれる酸素(全体の約2割)を私たちは呼吸の際に吸っているのである。 酸素が存在することにより、生物は大きなエネルギーを得られるようになり、 行動が活発になった。すなわち、「生物進化」に大きな影響を及ぼしたのだ。 また、植物は食物・資源としての価値や、新薬開発などとも大きな 関係がある。麻酔薬開発の参考になったモルヒネなどはケシから採取される アヘンの中の成分であり、マラリアの治療薬のキニーネ、 そして、柳の木の成分のサリチル酸などは特に有名であり、 このサリチル酸を人工的に改良したアセチルサリチル酸(アスピリン)は鎮痛・解熱薬などとして 現在でも世界中で広く使われている。このように植物は生活に欠かすことは出来ない存在なのだ。

二章.植物の種類

植物といえばどのような姿を想像するだろうか。 花壇の小さな花から樹木まで様々だと思うが、 それらの中で特に多いのが種子植物だろう。 種子植物は子房の有無で裸子植物と被子植物に分けられ、 進化の段階では裸子植物が最初に登場し、被子植物に移り変わった。 また、その時期が恐竜絶滅の時期と近いと考えられたことから 恐竜絶滅の原因が被子植物の登場によるアルカロイド中毒説なども提唱されている。 また、被子植物は子葉の数が1枚の単子葉類と2枚の双子葉類(合弁花類と離弁花類) に分けられ、単子葉類は葉脈は並行で、維管束(後で紹介)は散在となっており、ひげ根が 特徴的で、それに対して双子葉類は葉脈が網目状で、維管束は輪状で、根は主根と側根に分けられる。

COFEE BREAK 〜食虫植物〜
世界にはウツボカズラなど 昆虫などを捕らえる食虫植物が500種類以上存在する。 植物でありながら無視を捕らえると葉を閉じたり、 まさに"生物"としての神秘を感じる。

三章.花

ある種の植物の花は、人々の視覚と嗅覚を魅了する。 花の構造は基本的に 中心に"めしべ"があり、 それを取り囲むように"おしべ(先端に花粉が作られる"やく"がある)"、花びら、"がく"がある。 めしべの先は柱頭と呼ばれ、ふもとにあるふくらみは子房(中には胚珠がある)と呼ばれる。 受粉は"おしべ"の先端の"やく"で作られた花粉がめしべの先端の柱頭に付くことで、 受粉すると"めしべ"の子房は果実となり、中の胚珠は種子となる。

四章.葉

植物を観察すると花や葉が目に入るが、 葉の表皮、孔辺細胞には葉緑体があり、光合成の重要な場でもある。 葉脈は水を運ぶ道管と、栄養を運ぶ師管が束になった維管束で、 道管は葉の表、師管は裏側に存在している。 また、葉の裏側には気孔があり、酸素や二酸化炭素の出入り口となっている。 このように葉は重要な役割を担っているのだ。

五章.茎と根

植物の茎には根から吸収された水や溶けた栄養が通る道管と、 葉で作られた栄養を運ぶ師管があり、束になった部分は維管束 と呼ばれている。維管束は中心に道管、外側に師管があり、 根・茎・葉までつながっているが、 若い根の維管束では、道管と師管が交互に並んでいる。 また、根には栄養分を効率よく吸収するために根毛が存在している。

最終章.地球と植物

今回は、植物の基礎的な内容を扱ってきたが、 もし、これが生涯学習のきっかけや知識の財産となっていただけたなら 幸いである。 植物には様々な働きがあり、代用出来ない 地球の重要な資源である。近年はリサイクル活動などを 徐々に定着してきたような印象も受けるが、 私たちは 「イースター島で起きた悲劇」を繰り返さないことが出来るだろうか…
STUDY TIME〜動物と植物の細胞〜

多細胞生物は単細胞生物と異なり、細胞(Cell)が 集まったものであり(ヒトは約60兆個の細胞)、 動物細胞とは異なり植物細胞に特徴的なのは細胞壁、葉緑体、液胞である。

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